私はインターネットを通して物販や情報コンテンツなどを販売されている方や、オークションやせどりで生計を立てていらっしゃる方、ホームページ制作会社様や、システム開発会社様、プログラマーやSEの方、アフィリエイト(アフィリエイター)の方など、IT関係やネットビジネス関連の方の税務調査に何度も立ち会わせていただいておりますが、ネットビジネスの税務調査には実は一つのパターンがあります。
まずほとんどの場合、ITやネットビジネスの税務調査には調査官が二人で来ます。というのも、一般の調査官はネットビジネスのことを良く知りませんので、各税務署にITやWEBに詳しい担当の調査官がいて、同行してくるのです。
これは一般の税理士事務所が、ITやネットビジネスに詳しくないのと同じ理屈ですが、税務署はそんなことは言っておられませんので、それを専門に調べている調査官がいるのです。
ただ、同行してくるIT担当者は限られていますので、税務調査のポイントも必然的に似通ってくるのですが、いくつか具体例を挙げますと、まず調査官は事前に、あなたや企業のセールスページやサイト、そしてあなたの名前や企業名、商品名などを検索にかけ、隅から隅までチェックしてから訪れます。
ネットショップやサイト制作会社さん等の中には、セールスページの売り上げや利益、販売件数など、インパクトを上げるために大げさに書かれている方がたまにおられますが、サイト上の記載内容と、決算書の申告内容の数字が異なる場合などは、当然のことながら細かく説明を求められますので、予め理解をしておく必要があるでしょう。
IT節税お任せパック法人タイプにおまかせまた見逃しがちなポイントとしては、当然のことながら調査官は、ヤフーや楽天、A8やバリューコマース、Paypalやインフォトップなど、各ASPの締め日や入金日も全て把握していますので、万が一、売掛金の計上時期などにズレがある場合は、否認されるケースも出てきてしまいますので、確定申告の際などは注意が必要です。
ちなみにこれは弊社のクライアントさんではありませんが、本人のものはもちろんのこと、知り合いの名前を借りて作った別会社や別口座なども、基本的に全てバレますので、逆に印象を悪くする小細工はやめておくべきでしょう。
その他、通常ASPからは手数料を差し引いて銀行口座に振込まれますが、振り込まれた金額を売上として計上したとして、消費税の原則課税の場合は問題ありませんが、簡易課税の場合は過少申告になってしまいますので、こちらも注意が必要です。
また、その道の専門家にセミナー講師として依頼をする時など、報酬が発生する際には、源泉税が別途必要となってきますので、これも注意が必要でしょう。
そして最もよくあるミスとしてあげられるのが、法人設立前の個人の所得です。通常、税務調査は初年度から来ることはありません。税務署も手間を省くため、少なくとも3年以上のデータを握りしめてまとめてやってきますので、回ってこないからと安心していてはいけません。数年後に遡る形でやってくるのです。
よくあるパターンは、最初は個人事業で、副業や在宅サイドビジネスなどの小遣い稼ぎ程度から始めて、徐々に利益が出始めたので、法人を作るという方が多いのですが、その個人時代の申告をしていない、もしくは過少にしていた場合も、税務署はASPのデータ等を調べれば一目瞭然な上に、私が直接聞いたところ、調査官は年間で一人当たり約33件のノルマを持っていますが、ASPのデータと申告額の差などは、確実な証拠になりますので、IT関係やネットビジネス事業者というのは、税務署から見れば空振りしようのない絶好のカモなのです。
もし、ネット上のことなので、少々は申告しなくてもバレやしないとあなたが思っておられるとした ら、それは逆に大きな間違いです。ネット上であるからこそ、データが残り、税務署に狙われる可能性が大いにあるのです。